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2008年7月21日 (月)

「不滅」

「獅」を書いた時に比べ「不滅」を書いた時のことはなぜかあまり憶えていない。

それよりも、米谷大洋先生から「お前はもう俺のところに来るな!」と
言われたことの方が記憶に残っている。

周りの人達からは「僕は先生のところにいたいですって言いなさいよ」と言われたが、
「先生がそう言われるんだからそうします」と答えた。

米谷先生のところに通って6年ほどだったが、
その間、創作作品の手本は一枚もらったことはなかった。
半紙の臨書手本はずっともらっていたが、それも原本と見比べて
自分なりな解釈で書いて先生に見せていた。

先生は「これでよし。でもちょっと強過ぎるかな?でもそれがお前の線だ!」
と批評してくださり、創作作品については「僕はこれでいきます!」と
自分で書いて決めたものを見せるだけだった。

今思えば、相当生意気なヤツだ。

相変わらず筋トレはしていたが、この頃から筋肉が邪魔に思い、
ダイエットメニューに変えたと思う。
55kg→73kg→65kgくらいに変動していたと記憶している。

まずは、前年通り濃墨で「不滅」は取り組んでいた。
しかし、ここにある「不断」とは違う書体で書きたかった。

古典の筆法が露になり過ぎる作品を、なぜか自分で「お里が知れる」と
マイナスイメージで評価するようになっていたからだ。

書いても書いても納得のいくものが出来なかった。
紙は裂けなかったがバランスが悪い。前年とかわらず苦悩の日々が続く。

さて、いつだったか、息抜きに友達カップルに誘われてドライブに出たことがあった。
他愛もない冗談話で盛り上がりながら後部座席に座った森大衛は、話をしながらも
ちょうどその時間に流れていたユーミンのサウンドアドベンチャーに耳を傾けていた。
日曜の夕方のその番組は夕陽を背に走る車の中で穏やかに流れていく。

その時、初めてCARRY ONがオンエアーされた。

森大衛は思わず泣いてしまった。
しかも豚のように大泣きしてしまい、友人カップルは驚いていた。
すぐに我に返っておどけてみせたが、なんて凄い曲なんだろうと思った。
ずっとユーミンを支持、いや師事し続けてきて正解だと実感した。
そして「ずっと継続する」という意味のCARRY ONは、無限であり不滅の精神だ。

1992年11月27日に発売になったアルバム「TEARS AND REASONS」
ヘビーローテーションで聴きながら、また格闘の日々は続いた。

作品を表装店に送るタイムリミットは、通常より5日ほど伸ばしてもらって
12月15日くらいだったと思う。

でもヤバい。摩った墨がもうない。。。

器の縁にこびり付くように残った墨に、水を少しずつ足しながら枚数を重ねた。
書くたびに墨が薄くなる。しまいには茶系の淡墨になった。
通常、淡墨の作品は青系の隅を使うことの方が多い。
でも、もうこのままいくところまでいくしかない。

最後の最後に書けたものがこれだった。

Humetsu

つづく

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コメント

夕陽を背に走る車の中を流れる「CARRY ON 」
映画のシーンのような情景。 
とても大切なひととき。

私も少し前に「CARRY ON 」を聴き涙しました。 
今でも「CARRY ON 」をよく聴きます。

投稿: 麒麻凛子 | 2008年7月25日 (金) 22時04分

ユーミンが心の支えなのですね
シンクロすることありますよね
私はSPITSです
光景や雰囲気だけでなくその光景の中の臭いまで感じます
草野さんの切ない声に思わず引き込まれます
恋の歌だけでなくどの曲にも
どの音もすべて必要で どの間もすべて必要で
多分これからどんなに時が流れても決して色褪せない

投稿: ともちん | 2008年7月21日 (月) 08時57分

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